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♪うらメロ♪ブログ  

タケシのレッスン <なんだか10年近くかかりました>

彼(自閉症的サバン)が初めてレッスンに来たのは1998年だったので
10年近くという時間が経過しています。

彼は最初から教える必要がありませんでした。
全てを「私の動きを見て」自分で把握できていたからです。

これは別の角度から言うと、自分が把握したこと以外はやる気がしない。と言うことです。
最初の頃、お母さんに言い続けていたことがあります。
「家で練習をしなくていいです」と。

彼は一瞬で覚えてそれだけで充分なのです。
しかしうまく弾けるようになるためのトレーニングは必要です。
だから1曲をマスターするにはそれなりの時間はかかりますが、
きわめて普通のやり方ではありません。

彼は音を聞き取る能力がありますが、音楽をする時に必要な音の地図が頭にありません。

かと言って音の地図を書いたり読んだりする訓練は、彼はきらいです。

この10年近く私は徹底して彼のペースを重視してきました。
そのあげく、とんでもないレッスンスタイルが出来上がってしまったのです。

レッスンに来るようになって彼は仕事に燃えるようになっていきました。
趣味に遊びにと彼はえらく忙しい人です。
あれもやりこれもやりそして音楽もやり、となんでも手当たりしだいという感じで
こなしています。
彼は頭の切り替えがおそろしく早いのでそれが出来るのです。
しかし、問題は日曜日にいろんな事が集中することです。

彼のレッスンは最初は12:00だったか12:30だったかです。
たまに自分の遊びなどでレッスンを休む事がありましたが、そのうち、、、、
レッスンの時間に仕事が入るようになりました。
当時午後のグループレッスンが終了してTAKAYUKIのレッスンだけしかなかったので
仕事が入った時には午後から来ていいということになりました。

そのうちに
「来月のレッスンは○日は12:30で○日と○日は2:00でお願いします。」
というスタイルになり、、、、そのうちに
「来月レッスンに来られるのは○日だけです」ということがおきるようになり始めました。

彼はSONSのステージに大変力をそそいでいてやる気まんまんです。

1ヶ月近くレッスンを休んでしまうという事態が発生するような事態が起きたことがあります。
あわてた私は彼の休みの日にうちで補講をするというかたちをとるようになりました。

もっとも彼がステージで弾く楽器が私の家にあるので、いつもステージの前には
私の家でレッスンというか音のチェックをしていました。

しかし、それが普段のレッスンの補講というかたちになりつつあったのです。

だから「来月は1回しか出られないから先生の家で補講をお願いします」と
言う感じになってきました。

補講があるから安心してレッスンを休める。 
これが困ったことに遊びではなく仕事なのでいたしかたありません。

私の家で補講をする時彼は非常に集中してレッスンに励みます。
1時間半から2時間くらいみっちりとやって日頃のレッスン不足を解消します。
実際彼にとってそれで充分でした。

いつのまにか、ヤマハの教室に行くのは友達に会うため。しっかりとレッスンするのは
私の家、というすみ分けが彼の中に出来てきたのです。

ある時期どうしたものかと迷いましたが、、、彼が自分で決めている事なので
なるべくそれを尊重したいという気持の方がまさっていて、困ることがない限り
このスタイルを続けていこう、と決めました。

しかし、これ以上このままの状態を続けていくのはよくないと昨年秋頃から考えるようになってきました。

実際問題として、彼にとってどのようなレッスン形態をとろうが、
コンスタントに曲はマスターしていっているのです。
でも、このあたりで彼の都合にあわせる事をやめてこちらの都合にあわせる事を
していかなければならないと感じたわけです。

この間、ようやくひとつの結論に達しました。
「これからは、本当にステージの前だけうちでレッスンをしよう。
でもその他はヤマハで全部処理しようね。」
「ハイ。そうします!」
「仕事で休む時は必ずその前かあとの週に2回分レッスンしよう」
「はい!」
「そして、、、これからはその月にこなす曲をきちんと決めてなるべくそのとおりに
進むように頑張ってみようよ」
「それがいいねー」


今までは彼のペースにあわせてきたけどこれからは決めた目標に合わせる。

10年近くかかってようやく、このようにもっていくことが出来るようになりました。



昨日のレッスンで早速彼は新たなるペースでやっていました。




不思議です。
こちらの感じた事を実に正確に受け止めていました。

*こういう人達は私達普通に人間と比べて10年くらい先をいく感覚をもっているのか
あるいは常に我々の10歩先を行っているのかなのでしょうね。
by melo_pro | 2007-01-29 00:04 | タケシ | Comments(0)